この記事ではサッシ枠の種類の見分け方、使い分け方をやさしく解説しています。
こんな方におすすめの記事です。
- はじめてサッシ図をチェックする設計者
- 若手の現場監督、施工図関連業務の方
- サッシ屋の1年生 など
サッシの枠形状とは
サッシは、外壁の種類に応じて最適に納めるために、様々な形状の枠が用意されており「サッシの枠形状」と呼びます。
全く同じ製品シリーズの同じ窓種でも、枠の種類が数種類あります。住宅サッシは木造専用なので、枠形状のバリエーションはありません。
本記事では、もっともバリエーションの多いビル用(非住宅)のアルミサッシをベースに解説します。スチールサッシや樹脂サッシなどはバリエーションが少ない為、本解説の内容をマスターすればアルミサッシ以外の枠形状も理解できるようになります。
サッシ枠の種類 枠形状一覧表(形材)
以下が、基本的なサッシ枠(形材)の種類となります。呼び方はメーカーにより異なります。
- RC枠
- ALC枠
- 同面枠、面一枠、面付枠、フラット枠、F枠
- 半外枠、半外付枠(鉄骨枠、SC枠)
- 外付枠、全外付枠(鉄骨枠、SC枠)
このほかにも、乾式枠、自立枠、セットバック枠などメーカーで特殊な枠がありますが、この5種類の亜種と考えてください。
サッシ図の見方が分からない方、解説の用語がわからない方は、以下の記事を先にお読みください
サッシ枠形状の特徴を解説
RC枠、ALC枠、同面枠 納まり比較
RC枠
RC枠は、コンクリート抱き納まりで使用する形材です。
- シールを受ける面は外部の25mmの見付部、この面に止水ラインが来るように納める
- 縦枠の右側はアンカーを挟むためのヒレが有り、ここには適切にシールが打設出来ない
- 形状がシンプルなためコストが安い形材
- コストを無視して形状だけで言えば、RC抱き納まりに「ALC枠」や「同面枠」を使用する事もできる
- 止水の必要がない内部でもよく利用される
RC納まりが分からない方はこちらもチェック 【納まり事例集】RC納まり|標準図のポイントと応用
ALC枠
ALC枠は、ALC納まりで使用する専用の形材です。
- ALCとの間のシールを受けるために縦枠の右側に受けがある。「RC枠」にシール受けをプラスしたシンプルな形状
- ALC納まり内部にモルタル充填するため外部はシングルシール。そのため受け深さは15mm程度でダブルシールできない
- ALC納まりでダブルシールとする場合は同面枠を使用する
- シンプルな形状のためALC納まり以外でも使用可
- RC枠よりアルミの量が多いためコストは少し高い
- また、RC枠より外部見付(本図では35mm)が大きい為、抱き納まりでダブルシール打設する時にも利用される
同面枠、面一枠、面付枠、フラット枠、F枠
同面枠は、躯体とサッシを同面で納めるための形材です。
- 「ALC枠」のシール受けを深くして、ダブルシールができるようにした形状
- RC納まり以外にも、ECP納まり、サイディング納まりなど様々な納まりで使用される
- コストは高い
- 同面納まりは、躯体よりサッシが外部に5mm~15mm程度出るため、縦枠上部に塞ぎ材が発生。止水の重要ポイント
- 方立形状がRC枠やALC枠とは異なる
【解説】方立と無目の基本|標準納まりのポイント はこちら
半外枠、外付枠(鉄骨枠)形状比較
半外枠、半外付枠
半外枠は、軽量鉄骨造で使用する形材です。
- 鉄骨胴縁にビス止めできるヒレがあり、その上に透湿防水シートと外壁が重なり納まる
- 鉄骨胴縁から外部までが35mm~40mm程度、外壁厚は15~25mm程度の場合に使用可
- 意匠性で劣る
- RC枠よりはアルミの量が多いため、コスト高い(次項目の見切枠よりは安い場合が多い)
- 専用形状のため、基本的にはサイディング納まり以外で使用されることは無いが、木造でも使用可能
サイディング納まりがわからない方はこちらもチェック 【納まり事例集】S造サイディング納まり|標準図のポイント
外付枠、全外付枠
外付枠は、半外枠と同様に軽量鉄骨造で使用する形材です。
- 鉄骨胴縁にビス止めできるヒレがあり、その上に透湿防水シートと外壁が重なり納まる
- 鉄骨胴縁から外部までが70mmのため、外壁厚は約55mm以下の場合に使用可
- こちらも、「半外枠」と同様に意匠的に優れない
- RC枠よりはアルミの量が多い為、コスト高い(「見切枠」よりは安い場合が多い)
- 厚い外壁で使用が出来ることと意匠性に優れないため、スレート納まりなどでよく採用される、木造でも使用可
応用事例:見切枠、雨切枠、外額縁付枠
「見切枠」などと呼ばれる枠で、軽量鉄骨納まり用(左)とフラッシング無しの通常タイプ(右)の2種類がある。
軽量鉄骨納まり用 見切枠
- 「見切枠」と呼ばれる事も有るが、「RC枠(ピンク)」に「見切材(青)」をつけた構成。RC枠では無くALC枠や同面枠を使用する場合もある、製品の仕様次第
- 「鉄骨枠」の上位互換の位置付け。サッシ本体がセットバックし雨の吹込みを防げ、意匠的にも優れる
- 「鉄骨枠」同様に防水シートと取り合うヒレを胴縁にビス止めできる
- 見切材(雨切材)の出幅は、外壁に合わせて数種類ある
- 枠と見切材の取り合い部はサッシ工事でシーリング
- 窓種によっては鉄骨枠が無いが、その場合でも使用できる汎用性の高い納まり
通常タイプ(フラッシングなし) 見切枠
- 軽量鉄骨用と同様に「ALC枠(ピンク)」に「見切材(青)」をつける構成。ALC枠では無くRC枠や同面枠を使用する場合もある、製品の仕様次第
- 使用するのは「同面枠」と同じシチュエーション。意匠的に「同面枠」か「見切枠」を選ぶ
- 軽量鉄骨用と違いヒレが無くRC納まり、ALC納まり、ECP納まりなど様々な使い道がある。図のように深い位置でダブルシールを打設したいECP納まりでは特に活躍
- 見切材(雨切材)の出幅は外壁に合わせて数種類ある
- 枠と見切材の取り合い部はサッシ工事でシーリング
- 窓種によっては鉄骨枠が無いが、その場合でも使用できる汎用性の高い納まり
ECP納まりが分からない方はこちらもチェック 【納まり事例集】サッシECP納まり|標準図のポイント
コメント