この記事ではS造サイディング開口部の納まり詳細図のチェックポイントと、納まり改善のための応用事例を解説しています。
こんな方におすすめの記事です。
- はじめてS造のサッシ図を扱う設計者、若手の現場担当、施工図関連業務の方
- 若手のサッシ屋さん など
納まり解説について
本記事での解説ポイントは以下の点です
- サイディングの一般的な納まり標準図のチェックポイントを解説
- 本図は「アルミサッシ」ですが、ほかの種類のサッシでも使える基本的な考え方を解説
- 寸法は「一般的な参考数値」です。実際の建具製作会社により異なりますのでご注意ください
- サイディング外壁との取合い(外壁の小口処理、シール打設位置)は外壁によります、本図はあくまで参考です
専門用語がわからない方や、サッシ図の見方に不安がある方は先にこちらを、お読みください
【完全保存版】サッシ図の基本|見方・読み方徹底解説
サイディング納まり 外部雨切材(外部見切)
標準納まり
一般的な、サイディング外壁のアルミサッシの「雨切材納まり」標準詳細図です。
施工順はサッシ→外壁です。RC、ALC、ECPなどサイディング以外の納まりは基本的には外壁→サッシ順です。
- 外部に雨切材(見切材、外額縁)をRC枠に取付けた納まり
- 雨切材はヒレが伸びており、胴縁にビス止め。ヒレの上に防水テープと防水紙(透湿防水シート)を貼り、その上に外壁の納まりが多い。外壁との干渉を考慮し、固定は皿ビスか薄頭ビスが望ましい
- 本図では上雨切材と外壁の取合いは板金フラッシングにシール。但し、外壁納まりは外壁の仕様によるため、外壁図を確認
- サッシ枠の固定は、アンカーと胴縁を鉄筋棒で溶接。鉄筋棒で溶接代が確保できない場合、L型アングルなどを使用。
- 雨切材もビス止めするが枠固定強度としての役割はなく、あくまで止水用。但しこのビス止めにより、サッシ位置が胴縁精度でほぼ決まるため胴縁の出入が重要。また、縦横胴縁の面ズレも1~2mm以上だとサッシが取りつかない。
- サッシ枠と胴縁のクリア(=逃げ寸法)は溶接が出来る寸法を確保。枠外から胴縁まで最低25mm以上。ただしそれ以下でも対応方法はある。
- 雨切材と外壁のチリは汚垂れ防止のため15mm程度確保。雨切材と枠間のシールはサッシ工事のため色を指定する。指示が無ければ近似色となる
- 室内側のサッシ枠と額縁のチリは下0mm、3方15mmが標準的。変更も可能だが、枠とアングル一体の場合注意
外壁が厚い時
雨切材の出幅(本図では40mm)は各メーカーごとにバリエーションがあり、外壁厚に合わせて選択できます。雨切材の出幅が変わるだけで、その他の納まりは変わりません。ただ、雨切材はメーカーの規格寸法なのでチリがちょうど良くならない事も(本図20mm)あります。あまりに出幅の大きな見切りを付けたい時は曲物となります
応用納まり
外壁の仕様によっては、下は雨切材と外壁間は正面シールでは無い方が良い場合もあります。外壁固定の正面ビス止めを隠すために、垂れ下がりのある一般タイプ水切を使用する場合などです(イソバンドなど)。シールは見上げシールとなります。
サイディング納まり 鉄骨枠(ビス止め)
標準納まり:半外枠
サイディング外壁のアルミサッシの「半外枠納まり」標準詳細図です。
外壁の仕様・納め方についての記載は「サイディング納まり 外部雨切材」と同様のため省略しています。
- 鉄骨枠納まりは、外壁とサッシが同面で直接の雨がかりとなるため、窓種の選択には注意
- 納まりはビス止めでシンプルに見えるが、上枠に水切部品(本図には出てない)がついたり、方立見付が太いなど意匠性が低く、工場等での採用が多い。
- 半外枠は、サッシ芯あたりに枠固定用ヒレが付いた鉄骨専用枠で胴縁にビス止め。外壁の浮き防止のため固定は皿ビスか薄頭ビスが望ましい
- 枠の固定はビスのみで完結するため、アンカーは不要。下枠は胴縁に置き、室内側も脳天からビス止め
- サッシ位置が胴縁位置で決まるため胴縁の出入が重要。雨切材納まりとは異なり、出入りだけでなく高さも胴縁の精度による。また、縦横胴縁の面ズレも1mm以上だとサッシが取りつかない。
- 枠と胴縁のクリア(=逃げ寸法)が小さく、額縁とのチリが標準の15mm取れない場合が多い(本図10mm)メーカーによってはチリ0mmの場合もある
- イソバンドで半外枠を使用する場合、この下に無理やり水切を取り付ける場合もある
応用納まり:外付枠
「半外枠」はヒレから外面が35mm~40mm程度で、30mm以上の外壁は納まりません。外壁が厚い場合は「外付枠」を使用します。外付枠は固定用ヒレが枠見込の一番内側にあり、外壁55mm程度まで納まります。ただ、図のように外壁が40mmだとシール目地が30mmと大きく、あまり納まりが良くありません。その場合に左図の「ヒレゴム」や右図の「目地調整用アタッチメント」を取り付けて対応することがあります。
ただし、外付枠を使用するのは、意匠性が低くてOKで、かつ外壁厚が厚いという珍しい事例なので流通量が少なく、アタッチメント系オプションが無いメーカーもあります。
サイディング納まり 同面枠
応用納まり
サイディング外壁のアルミサッシの「同面納まり」詳細図です。「面納まり」「面一納まり」も同義です。
「雨切材納まり」「鉄骨枠納まり」が意匠的に好みではなく、同面で納めたい場合に採用しますが注意点も多いです。
- 同面納まりは雨が窓に直接かかるため、窓種の選択に注意
- 外壁厚に合わせサッシの出入りが自由にできる。また胴縁にビス止めが無いく取付精度が胴縁精度に影響されない
- 雨切材や鉄骨枠と違い、止水のための胴縁に固定するヒレがなく、板金などのフラッシング(建具工事外)の取付が必要。フラッシングとサッシ枠の間に、三角シールを打設し2次止水ラインの形成が必要
- 枠の固定は、アンカーと胴縁を溶接。ただし、外壁が厚い場合にはサッシ枠が胴縁より外に出るため、施工時にサッシを下に置けず、施工用の下地が必要となるなど見えないコストアップに注意
- 枠と胴縁のクリア(=逃げ寸法)は溶接が出来る寸法を確保。枠外から胴縁まで最低25~30mm以上
- 隠し框の高意匠サッシは鉄骨枠や外部雨切り材が無く「同面納まり」になる事が多い
- 外壁の種類によっては、水切を無しとすることも可能。しかし汚垂防止目的で一般タイプの小さな水切を付ける方が良い
RC納まり、ECP納まり
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