網戸の種類とそれぞれの特徴を、納まり詳細図付きでわかりやすく解説します。実はかなり種類の多い網戸。メーカーごとの特殊な商品や応用事例も紹介します。この記事を読むと、設計のポイントと選び方がわかります。
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網戸の種類
網戸の種類は、以下2点で区分けし、それぞれ解説していきます
網戸のカテゴリ分け | 網戸の種類 |
---|---|
ネットの種類 | ポリプロピレン(PP) ポリエステル グラスファイバー ステンレス スリムネット、クリアネット 幼稚園、保育園用パネル網戸 |
網戸の種類(開閉方式) | 可動網戸(スライディング網戸) ※全面引違い網戸 ※室内可動網戸 アコーディオン網戸(収納網戸) ロール網戸(横引きロール・縦ロール) 開き網戸 固定網戸 ガラリの網戸 |
網戸のネット(網)の種類
ネットの種類とその特徴を、強度の弱い順番で解説をします
ポリプロピレン(PP)
- 最も主流のネットで「サランネット」とも呼ばれる。価格は安価、加工性が良くカッターで切りやすく張替が簡単
- 色はブラックが主流。外が見えやすく、外観もスッキリとした印象。グレーは眺望が良くない代わりに、外から室内が見えづらいメリット。昔の公団住宅で良く使われた印象があり、あまり外観意匠は良くない、選択は注意が必要。
- 耐久性の低さがデメリット、対応年数は10年程度と言われるが、日の当たり具合の影響が大きい。
使用できる網戸の種類
- 引違い系の外部可動網戸
- 室内の開き網戸
- 固定網戸
ポリエステル
- PPの上位互換的な位置付けの網戸、PPより高価
- 強度が強く、ペットの引っ搔きでも破れづらい。三協のペット専用網戸「ペットライフネット」もポリエステル製
- アコーディオン網戸はポリエステル製のみ
使用できる網戸の種類
- 引違い系の外部可動網戸
- 室内の開き網戸
- 固定網戸
- ロール網戸
- アコーディオン網戸
グラスファイバー
- ガラス繊維と塩化ビニルの複合材料で熱に強く、タバコやライターの火で穴が開かない
- 紫外線劣化にも強い
- ポリエステルより強度が高く、猫がネットに登っても破れない場合もある
- 価格はPPよりネットのみの価格差では約2倍。メッシュサイズの種類が少なく眺望性が悪い製品が多い
- 色は「ブラック」「グレー」。グレーは無い場合も
使用できる網戸の種類
- 引違い系の外部可動網戸
- 室内の開き網戸
- 固定網戸
- ロール網戸
ステンレス
- 最も高価で、最も強度が高い。工場やガラリの網戸として使用される
- 非常に硬く、カッターで切る事が出来ないため個人での張替えはできない
- 樹脂製のように綺麗にピンと張るのが難しく、サイズが大きいと特にたるんだ印象となる
- また、中桟を入れないと網戸フレームの強度が持たない場合も
使用できる網戸の種類
- 引違い系の外部可動網戸
- 室内の開き網戸
- 固定網戸
番外編①:スリムネット、クリアネット
ネットの繊維が通常の約半分の細さで、眺望性が良い網戸です。材質は「ポリプロピレン」で強度は高くありません。
またメッシュ数が多く、小さい虫が入りづらいのも特徴です
各メーカーで名称が違いますが、他にもLIXIL「きれいネット」やセイキ「スッキリ網戸」なども同等です。
番外編②:幼稚園、保育園用パネル網戸
幼稚園や保育園で園児の衝突事故を防ぐ目的で、網戸にパネルを貼る商品。
YKKAPの「パネルスクリーン網戸」やナガオカサッシの「セーフティ網戸」などです。
網戸の種類(開閉方式) 特徴と納まり
可動網戸(スライディング網戸)
- 引違い窓、片引き窓でのみ使用される最も一般的な網戸
- 框見付は約40mmで、窓のサイズによって変化。外部設置のため、意匠性が低い
- サイズが大きくなると、横に中桟が必要な場合も
- 平面図で、窓の召合せ框と網戸左縦枠の見付は揃うが、製品や仕様により位置がずれる場合も
- 縦枠には強風時に網戸が動くのを防止するロック部品が付く
窓の半開での使用について。基本は全開での使用が防虫性は高いですが、半開で使用する場合は左図のように右障子を使用します。右図のように左障子を使用すると虫の侵入経路が出来ます。
応用商品:全面引違い網戸
三協の「全面引違い網戸」のように、左右両方に取り付く網戸があります。
応用商品:室内可動網戸
YKKAP「室内付可動網戸 WS11型」のように室内にレールと可動網戸を設置できる商品があり、外観意匠に優れます。
アコーディオン網戸(収納網戸)
- 開き窓で良く使われる網戸。手動で開閉で折りたためるため「ジャバラ網戸」「収納網戸」とも呼ばれる
- 幅の広い網戸では、たたみ代もおおきくなり見付が100mm程度までなる
- 両引き網戸も製作可能
- 大きな網戸が出来るため、ドアでは「アコーディオン網戸」一択。ドア用は下枠フラット(本図は窓用で下枠15mm)。ただし網戸と干渉を防ぐためにドアクローザーはトラックレールタイプ
- ロール網戸より構造が簡易で壊れづらい
- ネットの種類はポリエステルしか選べない
応用事例:外動片引き窓
外動片引き窓では、室内側の障子がFIXとなり、網戸を室内に設置できます。条件的には「開き網戸」や「横引ロール網戸」も可能ですが、「アコーディオン網戸」を使用する場合が多いです。召合せ框に、水色の受け部材(サッシ同色のアルミ材)を付けて窓の半分に網戸を設置します。
応用事例:額縁埋め込み
「アコーディオン網戸」は、額縁埋め込みタイプがあります。本図は網戸を隠しても、サッシの障子見付がみえるので効果は薄いですが、隠し框の高意匠サッシだとかなりスッキリします。本図はチリ5mmですが、完全に埋め込むこともできます。額縁の欠きこみ寸法などは製品の仕様確認が必要です。
ロール網戸(横引きロール・縦ロール)
- 平面図右の収納ボックスに網戸を巻いて開閉をする網戸。本図は「横引ロール」、上げ下げ窓などでは「縦ロール」
- 上下がファスナーのような形状で「アコーディオン網戸」より防虫性が高い
- 逆に複雑な構造のため、修理などは個人でできない
- 性能の高さから、住宅サッシの標準はロール網戸だが、非住宅ではあまり使用されない
- ネットの種類はポリエステルかグラスファイバーのみ
開き網戸
- 内開きで可動する網戸。室内に障害物が無い場合に使用可能。ブラインドボックスがある場合など注意。
- 「アコーディオン網戸」に比べ製作範囲は狭い
- ネットの種類は、全て選択可能
固定網戸
- 固定網戸は窓のハンドルを操作しない場合に使用。価格は可動系の網戸より安い
- 「枠ベタ付けタイプ」(左)は隠蔽OP仕様の排煙窓、オペレーターハンドルの縦すべり出し窓で使用
また内倒し窓、内開き窓は外部固定網戸 - 「金物露出タイプ」(右)は露出OP仕様の排煙窓で使用
ガラリの網戸
ガラリの網戸は固定網戸です。ネットの種類は2つ選択肢があります。
- 防虫網(左)
窓と同じネット種。写真はSUS、ポリプロピレンも選択可。目が細かいため、ダクトの吸排気で詰まりやすい - 防鳥網(右)
SUSでメッシュ10mm程度、鳥の侵入を防ぐ。写真はクリンプネット、エキスパンドメタルも選択可。性能に差はない
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