【解説】フロントサッシとは?|特徴や一般サッシとの違い

アイキャッチ-フロントサッシとは

この記事は「建築関係者」向けです。

本記事ではフロントサッシの特徴や、一般サッシ(ビル用サッシ)との使い分けなどを解説します。

こんな方におすすめの記事です

  • はじめてフロントサッシを取り扱う若手の設計者や現場担当者
  • サッシ屋の1年生 など
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フロントサッシとは

「フロントサッシ(front sash)」はその名のとおり店舗や施設の1階エントランスの出入り口に使用される製品で、耐風圧性や水密性・気密性・断熱性などが低い要求性能を絞ったサッシの総称です。「エントランスサッシ」と呼ばれることもあります。

フロントサッシの汎用品はアルミ、スチール、ステンレスがほとんどで、アルミ樹脂複合や樹脂サッシは一般的ではありません。多くのフロントサッシはアルミかステンレスです。ステンレスの方が高級感があります。

アルミサッシメーカー各社のメイン商品はYKKAPのEXIMA51e、三協のSTフロント、LIXILのフロンテックです。

フロントサッシの図面の見方・読み方

フロントサッシが一般サッシと異なるのは、窓種と枠の形状と性能です。そのためサッシ図(施工図)の見方は、一般サッシと基本的に同じで、下記が参考となります。

サッシ図の見方はこちら【完全保存版】サッシ図の基本|見方・読み方徹底解説 

※一般サッシ:いわゆる通常のサッシ、フロントサッシとカーテンウォール以外の総称

フロントサッシの窓種一覧

フロントサッシは自動ドアやフロアヒンジドアなど、エントランスに特化したラインナップです。フロントサッシは要求性能が低く自由度が高いため、各社で多様なデザイン性の高い製品を取り揃えていますが、ここでは一般的な窓種を紹介します。

フロントサッシ-窓種一覧
  • FIX窓:開閉しない窓。はめ殺し窓
  • 排煙窓:排煙用のワンタッチで開放する窓。外倒し、内倒し、突出し
  • ガラスブロック:ガラスの正方形ブロックをサッシ枠内で積んだ窓
  • ガラススクリーン(リブガラス):車のショールームでよく見る、アルミ方立を使用しないガラス方立の窓

窓種の詳細はこちら【完全保存版】窓種(開閉形式)38種類を解説|特徴と技術情報

  • 丁番ドア:縦枠の丁番が開閉機構のドア。最も主流のドア
  • ピボットヒンジドア:丁番の代わりに、上下枠にピボットヒンジが付く。意匠性が高い
  • フロアヒンジドア:別名自由開きドア。店舗のエントランスでよく使われる。水密気密性なし
  • 自動ドア:別名オートドア。水密気密性なし
  • ダブルスライド自動ドア:障子2枚分が開く。狭い所で活躍するが、見込み、見付が大きく高価
  • ワイドオープン型自動ドア:通常は普通の自動ドアだが袖FIXが開放できる。車のショールームでよく使われる
  • ハンガードア:サッシは自動ドアと同じだが手動。閉鎖だけ自動の半自動タイプもある。水密気密性なし
  • フラッシュハンガードア:ハンガードアの扉がフラッシュ
  • 引違い戸:障子が下置きレール式。引違い窓の下枠がSUSのタイプ。水密気密性なし

ドアの種類の詳細はこちら【解説】ドアの種類を解説|特徴と設計のポイント

フロントサッシと一般サッシの性能比較

大手サッシメーカー3社の製品の仕様・性能を比較しました。一番の違いはフロントサッシは1階での使用を想定しているため、耐風圧性が1600Paまでとなっている点です。また水密性・気密性についてFIX窓や排煙窓などは性能がありますが、自動ドアやフロアヒンジドアは性能を持ちません。

フロントサッシ(アルミサッシ)一般サッシ(アルミサッシ)
耐風圧性S-1(800Pa)~S-3(1600Pa)S-4(2000Pa)~S-7(3600Pa)
水密性等級無し~W-5(500Pa)W-4(350Pa)~W-5(500Pa)
※1000~1500Paの製品もあり
気密性等級無し~A-4A-4
遮音性等級無し~T-1T-1~T-3
断熱性等級無し~H-1H-1~H-2

※等級無しは自動ドアやフロアヒンジドアなど。一般サッシの性能は2重窓、戸、ガラリ、ガラスルーバーは除く

製作範囲について

基本的にカタログの製作範囲表によります。一方で、一般サッシに比べて自由度が高く補強などを入れて製作範囲外のオーダー対応もよく行われているのがフロントサッシの特徴でもあります。

以降の記載は、あくまで目安の参考値です。

H寸法

FIX窓

フロントサッシは要求耐風圧が低く、さらにエントランスには高さの大きな意匠が多いです。そのため、アルミサッシでは見込が150~250mm程度の高強度方立がラインナップされています。方立内にSt補強材を組み合わせるとH=6000程度まで製作可能な場合もあります。(※高さ6000mmはフロントに限らず、アルミ形材の工場での取り扱いの限界の寸法の場合が多いです)

もちろん、アルミ製一般サッシでも要求性能やSt補強によりH=6000mmまで対応できる場合もありますが、カタログ範囲外ならコストも含めてサッシ業者に相談をお勧めします。H=6000だとサイズが大きいため「カーテンウォール」じゃないと製作できないと思っている設計者も一部いますが、サッシ業者視点では「カーテンウォールは納期トラブルになりやすいため、出来る限りフロントで納めたい」という認識です。

またステンレスサッシでは標準寸法はH=5000が最大である場合が多いです。

ドア系

アルミもステンレスも基本的には、どの製品でもH=3000程度は対応可能という認識でよいと思います。自動ドアなどH=4000が標準で対応可能なものもあります。またFIX窓と同様、オーダー対応がよく行われるのでカタログでNGでも、サッシ業者に確認するとよいでしょう。

オーダー対応でコストが上がり過ぎる場合は、欄間を入れて段窓に変更します。

W寸法

FIX窓

W寸法はどれだけ大きくても、ガラス荷重に関しては下枠からそのまま躯体に伝わるので、サッシ枠の強度にほぼ影響はありません。しかしガラスが厚くなるため、アルミサッシだとガラス開口に入らない場合もあります。また設計風圧によっては方立の強度が持たない場合もあります。各種条件によりますがW=4000を超えたら確認をお勧めします。

また、段窓の場合はガラス重量で無目がたわみますので、W=3000程度を目安に確認が必要です

アルミフロントサッシと一般サッシの枠構成

意匠性と止水性の基本的な特徴

一般サッシ(ビル用サッシ)

  • 組立性、止水性のため縦枠に押縁
  • 方立は止水のため、外部にガスケットまたはシール
  • 方立見付70mm、見込100mmと大きい
  • コストはフロントサッシより安い

総合すると、水密性は高く、意匠性は劣る、コストは安い

フロントサッシ-一般サッシ断面詳細図

フロントサッシ

  • 押縁が無く、組立性・止水性が悪い
  • 方立は割方立と呼ばれ形材の嵌め合わせで止水性は劣る
  • 方立見付60mm、見込70mmと小さい
  • コストは一般サッシより高い
  • 比較的納期が早いことがある

総合すると、水密性は低く、意匠性は高く、コストは高い

フロントサッシ-フロントサッシ断面詳細図

部材構成・縦横の取り合い

フロントサッシ-サッシ枠の組立図

一般サッシの部材の取り合いは複雑に見えます。縦枠の押縁や縦枠の外部側のヒレの下端をカットすることで、縦枠にフラットな面を作っています。そこに取り合う横材は単純な直交切断のみで良くなります。

一方、フロントサッシは縦材も横材も直交切断するだけで加工は非常にシンプルです。しかし縦枠のガラス溝の部分が凹んでいるため、取り合いで穴が空いています。

フロントサッシは短納期

フロントサッシは加工が簡単なため、メーカー直営の工場以外の契約店でも製作できるものがあります。そのため、発注先や価格にもよりますが、短納期対応可能なケースがあるのは大きな特徴の一つです。

フロントサッシ止水のポイント、ガラス溝の処理

フロントサッシ-止水方法、仕口図

フロントサッシの縦材と横材の間の穴は、シールなどで塞ぎます。これが止水の重要ポイントとなります。メーカーによって、シールか部品を充填しますが、無目や下枠など部位ごとに対応は異なります。

可動窓(排煙窓や開き窓)の意匠

可動部の縦枠については、一般サッシは専用枠があるため、逆にフロントサッシよりすっきりする場合があります。フロントサッシはFIX枠に可動部アタッチメントを取り付けて製作するため見付が太くなる傾向があります。そのため可動窓単体をフロントサッシで製作しない方が良いです。

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