【解説】サッシ工事 施工の工程と管理基準

アイキャッチ-サッシの施工と管理基準

金属製建具の施工品質は、耐風圧・水密・遮音などすべての性能に直結します。本記事では、RC造(S造)における標準的な施工フローに基づき、工程の流れ、管理基準、現場で陥りやすい注意点を解説します。

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サッシ施工前の確認:開口部のポイント

墨出し

サッシの施工-サッシ開口に必要な墨(芯墨、返り墨、陸墨)

サッシ取付に必要な基準の墨出しを壁面や床面に行います。
とくに大型・連窓の場合は基準墨のみで判断せず、両端の納まりや躯体とサッシのチリも考慮し位置を決定します。

  • 水平基準 (陸墨):一般的にはFL+1000を基準に墨出し
  • 垂直基準:通り芯や柱芯に墨を打つ
  • 逃げ墨(返り墨):壁内で打てない位置から500~1000mm逃げた取付に必要な墨

開口・アンカー確認

本図はRC造抱き納まりの参考図です。

サッシの施工-サッシ開口のアンカー
  • 躯体側アンカーピッチをチェック。割付寸法はサッシ図や躯体図が基準
  • 使用するアンカーは、鉄筋利用型または埋込み型(アヒルアンカー)
  • サッシ開口寸法が図面通りか確認。サッシ枠周囲に溶接スペースがあるかチェック
    (図の赤〇のクリアランス寸法が約25mm以上あれば溶接可。外部側アゴ部の開口寸法が小さいと網戸に支障)
  • コンクリート面に、欠損など補修が必要な不具合が無いかチェック

RC抱き納まりの標準詳細図はこちら【納まり事例集】サッシRC納まり|標準図のポイントと応用

補足

アンカーピッチは、公共工事標準仕様では500mm以下。ただしメーカー標準や風圧力によるため必ず製作図(サッシ図)を優先。基本的には端部は100~150mm、中央は400~450mm程度を標準としているメーカーが多い

開口修正・補修

サイズが違った場合は開口を修正。欠損部などは補修します。補修不足は漏水の原因となります。

  • 開口寸法が不足している場合、はつり等を検討
  • ジャンカ、空隙、未充填などの不良がある場合は補修
  • アンカー埋め込み位置の軽微なズレなら施工可能だが、必要に応じて後施工アンカーを追加
    一般に50mm以下のズレは施工可。SDなど枠側アンカーが工場付の製品はズレを許容しづらい)
  • 判断が難しい場合は、監理者・関係者と協議のうえ是正方法を決定

保管と組立

搬入・保管・仮置き

  • 保管場所は雨などが掛からない場所に(ウォータースポットなどの不具合の原因となる)
  • 施工順序を考慮し配置し、製品は床に直置きせず、必ず枕木の上に
  • 形状に合わせ、立て掛けか平置き。フラッシュパネルやボードは、反りを防ぐため平積みを避け立て掛ける
  • 笠木や水切などの長尺部材は平置き。中間にも枕木を
補足
  • ドアや掃き出し窓がある場合、施工後に下枠(沓摺)にモルタル埋めが困難なため、下枠にこのタイミングでモルタル詰めを行う。見落としやすいため注意が必要
  • 搬入時に表面処理の膜厚検査を行うのはレアケースで、通常の現場では機器等がないため事前に打合せ必要

サッシの組立・事前準備

サッシの施工-サッシの組立、連窓方立
  • 床に枕木を並べ、平坦な作業台を作製しサッシを配置
  • 連窓や段窓の場合、連結するサッシの水平・寄りを調整し方立を正規中央の位置で取付
  • サッシ工事に含まれる金属製額縁のうち、出幅が小さいものはこの段階で取付

方立がわからない方はこちら【解説】方立と無目の基本|標準納まりのポイント

取付・溶接

サッシの施工-つり込み、仮固定、溶接固定

建込み、吊込み(仮止め)・位置決め

  • サッシを開口に吊り込み後、躯体上部の鉄筋にひもや番線で結び仮止め
  • くさびや専用の調整金物・治具で仮固定。くさびは四隅付近+枠サイズに合わせて、必要箇所へ配置
  • アルミサッシなど現場で枠にアンカーを取付る製品は、躯体側のアンカー付近に設置
  • 芯墨から枠の寄り。陸墨から高さ。逃げ墨から出入り確認し、くさびで調整、固定
    (面外の倒れ、枠の対角もチェックしながら微調整)
補足

くさびの打ち過ぎは枠の変形を招くため注意

溶接固定

  • 溶接、またはビス止め等にて確実に固定。工法(溶接・火気なし工法など)は施工図承認前に検討・選定
  • 仮取付後は原則として当日中に本固定
  • S造はモルタル埋めしないため、RC造より溶接長の確保がしっかり必要(点付けはNG)
  • 火気管理を徹底

RC造以外の納まりはこちら
【納まり事例集】S造サイディング納まり|標準図のポイント
【納まり事例集】サッシECP納まり|標準図のポイント

検査:精度の自主検査

本取付完了後、次工程へ進む前に必ず精度確認を行います。

  • 取付業者が全数自主検査を行い、水平・垂直・出入り、部材の反り・傷、溶接不良などをチェック
  • 現場担当者が抜き取りでチェック

検査項目(一般的に使用される施工誤差の数値)

  • 枠の高さ:施工誤差±1.5mm(公的基準は2.0mm)
  • 枠の出入り:施工誤差±1.5mm(公的基準は2.0mm)
  • 枠の寄り:施工誤差±1.5mm(公的基準は2.0mm)
  • ねじれ:±2.0mm
  • 枠の対角寸法差:3.0mm

サッシ周り関連工種:モルタル・シール・ガラス

モルタル充填(トロ詰め)

サッシ工事ではなく左官工事でモルタル詰めを行います。RC、ALCの場合は必要、ECPやサイディング外壁は不要です。

  • サッシ仮固定のくさびを外し十分に充填。サッシ枠にモルタルが付着しないよう注意
  • 必要に応じてモルタル面の防水処理を行う
  • 左官工事のため、枠のはらみに注意
  • 沓摺や下枠で、溶接後モルタル詰めが困難な場合は、搬入時にモルタル詰めを行う

トロ詰めについて詳しくはこちら
【解説】サッシ周りモルタル「トロ詰め」の手順と注意点
【Q&A】サッシ周りにモルタルを詰める理由は?注意点は?

補足

サッシの仕様によってはモルタル充填ができない製品がある。また、断熱サッシなどは充填方法を誤るとヒートブリッジによる結露の原因となるため、充填範囲や方法を事前に確認・共有

シーリング打設

  • 一般的にはサッシ部材同士の取り合いは「サッシ工事」躯体とサッシの取り合い:「サッシ工事外」 
    工種間の施工範囲・責任区分を明確に
  • 部位に応じて適切な材料・施工方法を選定

シーリングについては【解説】サッシのシーリング材|種類・選び方のポイント

ガラス施工

補足

ガラスサイズはサッシ枠からの飲み込み寸法がJASS17により規定されている。しかし、最近は見付が細く寸法精度がシビアな製品が多いため、必ず製作図(サッシ図)で飲み込み寸法を確認

ガラスの種類についてはこちら【解説】窓ガラス全16種類|特徴と選び方

仕上げ・調整・散水試験

仕上げ・調整

  • 引違い窓やドアは、開閉、施錠、がたつき、付属金物など全数調整
  • 建具金物(戸当たりなど)を必要に応じて適切に取付

引違い窓の、初動の重さは50N(5kg)がJISにて規定。重すぎる箇所は確認を行う

散水試験(建築図の仕様により規定がある場合のみ)

JIS等に規定が無いため、あくまで一般的な方法ですが、ホースでの直接散水は、実際の雨やJIS試験よりも水圧がかかり、過酷な条件となる点に注意が必要です。サッシメーカー等関係者で事前協議が必要です。一般的には実施しません

  • 事前に協議された箇所にて散水し漏水の有無を確認
  • 一定距離(50cm~1m程度)から複数方向よりホースの霧吹モードで、約3分~5分散水
  • 可能な限り室内仕上げ前に実施

注水試験(建築図の仕様により規定がある場合のみ)

特殊な排水機構を納まりとして採用している場合などに実施する場合が希にあります。一般的には実施しません

  • 代表箇所でシールを切って着色水などを注水し排水経路を確認
  • 図面通りの排水位置から排水される事を確認

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