この記事では、サッシの代表的な改修手法「カバー工法」について解説します。
こんな方におすすめの記事です。
- 初めて改修工事を担当する若手の設計者、現場監督、施工図関連業務の方
- 若手のサッシ屋さん
サッシの専門用語や、図面の見方が分からない方は【完全保存版】サッシ図の基本|見方・読み方徹底解説
窓やドアのカバー工法とは
「カバー工法」とは改修工事でサッシを交換する方法の一種で「かぶせ工法」とも呼ばれます。既存枠を残して新設枠を被せるため、以下の特有のメリット・デメリットがあります。
メリット
- 既存サッシ撤去が無いため、工期が短く1窓であれば数時間でリフォームが完了する場合も
- 通常の既存サッシ撤去で発生する騒音や粉塵のための養生が不要
- 「はつり工法」に比べコストが低く抑えられることが多い
デメリット
- 既存サッシの上に新設サッシを被せる為、窓のサイズがひと回り小さくなる
- 既存の窓に方立や無目のある場合、既存撤去が必要となる
- 内外の床がフラットな場合は、新設枠を被せるため段差ができる
アルミサッシのカバー工法
標準納まり
最も一般的なアルミサッシを使ったカバー工法を解説します。
既存サッシとカバー工法図面比較

引違い窓(左)からFIX窓(右)への改修比較図です。新設サッシはピンク色、取付下地は水色で示しています。
既存サッシの障子は撤去し既存枠は残し、上から被せるように新設サッシを取り付けるため「カバー工法」「かぶせ工法」と呼ばれます。
改修工事なので溶接せず、ビス止めで取付が一般的です。下地形状が複雑なこと、綿密な現調が必要なことから、溶接取付よりコストは高くなる傾向があります。エントランスなど溶接ができる時は、カバー工法でも溶接で納める場合もあります。
アルミサッシカバー工法の断面詳細図

アルミサッシカバー工法の標準納まり図です。使用する新設サッシはビル用サッシ(一般サッシ)のALC枠です。
ALC枠が分からない方はこちらをどうぞ 【解説】サッシ枠形状一覧|RC枠、ALC枠、同面枠、鉄骨枠の使い分け
- 新設サッシは既存サッシに比べ有効開口が通常W-70mm(35mm×両側)、H-65mm程度減少
- 取付下地はSt曲物ビス止め。外部正面からのビス止めは既存枠の肉厚が厚ければ既存枠補強材は不要
- 外部は既存躯体と新設サッシの間にシーリングを打設して止水
- 既存水切を隠す場合、大きな曲物で被せる。隠さない場合は小さな水切でOK
- 内部は既存額縁との間に小さな化粧カバーを取付、誤差吸収のため10mm程度シール目地を設ける
- 工事の段取りを重視しシールとガラスもサッシ工事とするとサッシ工事のみで完結できる
施工事例

カバー工法の特徴は、外観では既存水切りを覆う大きな曲物水切。内観では、既存額縁とサッシ枠の間に小さな化粧カバーです
特殊納まり事例

アルミ樹脂複合サッシのカバー工法
左図は、ビル用アルミ樹脂複合サッシを使ったカバー工法納まり詳細図です。基本的な固定方法はアルミサッシと似ていますが下地にアルミやスチールをそのまま使うと、下地がヒートブリッジとなり結露リスクがあるため絶縁が重要です。取付下地と既存枠の間に樹脂ライナーなどを挟みます。
改修専用サッシ(ビル用サッシ・住宅用サッシ)
右図はカバー工法専用の商品で「改修サッシ」や「改修専用サッシ」などと呼ばれ、特徴は
- 各社いろいろな形状の製品があるが、多くはマンションや住宅用の改修用の商品
- AT材納まりが採用されてる製品もあり、現場シールが発生しない
- 枠見付が薄く、通常のカバー工法より有効開口が広い
- 専用製品のため、窓種が少ない
- 使用できる既存枠に制限があったり、納まりにより使用できない場合も
住宅用サッシでも、アルミ樹脂複合サッシの改修サッシがあります。ビル用も同様に専用納まりの製品は自由が効きづらく使用できない場合もあります。使用可否はメーカーによるため各社カタログをご確認ください。
SD(鋼製建具)のカバー工法
SDが分からない方はこちらをどうぞ【完全保存版】SD(スチールドア)の基礎知識


マンションや集合集宅では玄関SDのカバー工法がよく採用されています。
左は既存のドア納まりで、扉を撤去し枠は残します。右のピンクは新設ドア、水色が取付下地です。新設枠は、15mm外部側に持ち出して取付け、既存躯体との間にシールを打設します。内部の仕上げ処理は、既存枠との間でシール打設ですが、既存枠を完全に隠す場合St曲物で小さなカバー材を取り付ける場合もあります。
新設枠の室内側は潰し加工をすることで、有効開口幅を最大限に維持する工夫が一般的でサッシWは既存W-20mm程度(10mm×両側)となります。
沓摺(下枠)の段差も新設沓摺を潰し加工する事で5~8mm程度の段差となるのが一般的です。標準的な納まりでは段差を0とすることは出来ないため、注意が必要です。
※本記事での寸法は「一般的な参考数値」です。製作メーカーや納まりにより異なりますのでご注意ください

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