住宅の断熱性が求められるようになり二重窓に注目が集まっています。この記事では二重窓とペアガラスの違いの比較、二重窓のメリットデメリット、二重窓の図面で設置のポイントを解説します。
こんな方におすすめです
- そもそも、二重窓(二重サッシ)・内窓が何かよくわからない方
- 二重窓を検討していて、メリット、デメリット、設置する際のポイントなどを知りたい方
二重窓(二重サッシ)・内窓とは
二重窓(二重サッシ)は通常の窓の内側に、もう一個窓を設置して二重にしたものを指します。外に設置される窓は外窓と呼ばれ、通常アルミサッシやアルミ樹脂複合サッシ。内に設置される窓は内窓(インナーサッシ)と呼ばれ、通常樹脂サッシやアルミサッシが使用されます。
ペアガラス(複層ガラス)とは
二重窓とペアガラス(複層ガラス)は混同されている場合も結構あります。
ペアガラスはあくまで、ガラスの種類を示す用語です。図のようにガラスが2枚で中空層をもつ二重構造になった断熱性の高いガラスを指します。
「二重窓」は窓の種類、「ペアガラス」はガラスの種類ですので、二重窓でペアガラスを使用するケースもあります。
ガラスの種類について詳しくはこちら【解説】窓ガラス全16種類|特徴と選び方
二重窓とペアガラスの違い・比較
左図は二重窓(二重サッシ)の縦断面図です。外窓(水色)の内側に、内窓(ピンク色)が設置された窓です。一方、右図はペアガラスを示します。外窓のガラスが2枚構造になっています。ペアガラスはあくまでガラスの種類なので、左図の二重窓の外窓もペアガラスです。
項目 | 二重窓(二重サッシ) | ペアガラスを使用した窓 |
---|---|---|
サッシの枚数 | 2枚 | 1枚 |
サッシの材質 | 外窓:アルミ窓、アルミ樹脂複合窓など 内窓:樹脂窓やアルミ窓など | アルミ窓、アルミ樹脂複合窓、樹脂窓など |
ガラス | 外窓:単板ガラス、ペアガラスなど 内窓:単板ガラス、ペアガラスなど | ペアガラス |
断熱性能 | 高い(が、窓の材質による) | 低い(が、窓の材質による) |
防犯性能 | 高い | 低い(が、ガラスによる) |
防音性能 | 高い(が、ガラスによる) | 低い |
リフォームしやすさ | 内窓の後付けが簡単 | 単板ガラス用のサッシだと ペアガラスへの交換は難しい |
操作の手間 | 手間がかかる | 手間はかからない |
価格 | 高い | 安い |
設置の自由度 | 木枠の幅が小さい場合など 設置できないこともある | 新築では必ず選択できる リフォームでは制限がある |
「二重窓」と「ペアガラスを使用した窓」の比較表です。ただし、窓の材質やガラスの厚さや性能でも変わりますので、あくまでイメージと考えてください。さらにくわしい解説は次の項をご覧ください。
二重窓(二重サッシ)のメリット・デメリット
メリット3選
断熱性能・結露対策・省エネ性能
サッシが2枚設置されるため、非常に断熱性能の高い窓となります。
例えば、外窓がアルミサッシ(ペアガラス)+内窓が樹脂窓(ペアガラス)の場合、単窓の樹脂窓(トリプルガラス)と同程度の断熱性能となります。外窓が外窓がアルミサッシ(ペアガラス)+内窓が樹脂窓(単板ガラス)の場合、単窓の樹脂窓(ペアガラス)と同程度となります。
注)あくまで、性能はサッシやガラスの種類のよるためカタログをご確認ください
また、エアコン効率があがるため省エネで、メーカーのカタログだと10年間で25万円程度の電気代節約につながると記載があります。
防犯性能
窓が二重になっており、内窓にも鍵がつくため、防犯性能は高くなります。ただ、これは防犯ガラスや防犯フィルムの使用有無も大きく影響します。
防音性能
もう一枚窓が追加されるわけですから、当然のように防音性能は非常に高くなりますが、内窓設置が防音目的の場合の注意点は、大きく2つあります。
- 通常ガラスでも効果はあるが、防音に適したガラスを選択するほうが効果が高い事
- 外窓と内窓の間を出来るだけ広く開ける事。但し、間が広くなると断熱性能は落ちる
内窓を付けても効果が無いという話も聞きますが、思ったより効果が無かった人のレビューだと思われます。二重窓でも完全に防音されるわけではないと認識しておいてください。
後付けが簡単にできる
樹脂内窓と呼ばれる商品は(LIXILインプラス、YKKAPプラマードU、三協立山プラメイクE)は、既存窓の木枠に後付けする専用の商品なので、簡単に取付ができます。木枠の出幅が狭い時の枠のふかし材なども用意されているので、大抵の窓に対応ができます。
一方、単板ガラスをペアガラスに交換するリフォームの場合、既存のサッシを交換する必要が出たりするため、逆に難しい工事となる場合が多いです。
デメリット3選
窓の開閉操作や清掃に手間がかかる
日々の開閉に手間がかかります。引き違い窓の場合で、外窓と内窓が近いと外窓のクレセント錠の操作がしづらい問題も発生します。
また、清掃にも手間がかかります。基本的には外窓に結露が発生しますので、ガラス面を拭くときには内窓の開閉が必要です。
価格が高い
窓が2枚ですので、通常の窓より価格は高くなります。ただし、1枚で高断熱の樹脂窓や木製窓などと比較すると安い場合も有りますので、詳細は業者で比較検討が必要です。
設置できない場合がある
木枠が無い場合や、木枠が小さすぎる場合など窓まわりの状況によっては、設置出来ないケースもあります。また、サイズが大きすぎたり、窓の種類が特殊だったりすると、綺麗に納まらない可能性もあります。
内窓の種類(窓種)
一般的な樹脂内窓(LIXILインプラス、YKKAPプラマードU、三協立山プラメイクE)では、下記の4種類しか窓種がないため、特殊な窓に内窓を設置する場合には検討が必要となります。
- 引違い窓
- 内開き窓
- はめころし窓(FIX窓)
- ドア
断熱目的の樹脂内窓ではなく、防音目的などで内窓にアルミサッシなどを使用する場合は、窓種に制限はありません。
納まり詳細図・設計のポイント
住宅サッシ納まり詳細図(樹脂内窓改修、窓リノベ)
木造住宅の二重窓の一般的な納まりです。外窓はアルミ樹脂複合サッシペアガラス仕様で、樹脂内窓が木額縁に後付けされる納まりです。この納まりで新築で内窓をはじめから設置する事も有りますが、窓リノベ(内窓改修)としてリフォームなどで採用される場合が多いです。新築で内窓を使用しない場合は高断熱の樹脂窓などを採用します。
外窓と内窓の隙間(本図では20mm)が狭いほど、断熱性能は良くなるとされています。ただし、あまり近すぎると外窓の操作性が悪くなったり、外窓のクレセントが内窓と干渉する場合も有りますので、製品の仕様を確認してください。
ビル用サッシ(アルミサッシ+アルミ内窓)
非住宅の防音目的の二重窓の納まり図です。外窓、内窓とものアルミサッシを使用しています。一般的に外窓と内窓の隙間(本図では50mm)が広いほど、防音性能は高くなると言われています。二重窓の規格品も有りますので、必要な防音性能とメーカー標準の納まりを確認してください。
非住宅のビル用サッシでも、断熱目的で樹脂内窓を設置する場合は、木額縁に後付けしますので、内窓については上項目の住宅サッシ納まり図と同じ納まりとなります。
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