【解説】窓・サッシの性能|JIS等級と実務での選び方

アイキャッチ-サッシの性能

窓やサッシの仕様書やカタログの「S-3」「W-4」といった記号。これらはJIS規格(JIS A 4702/4706)に基づく性能指標です。

本記事では、設計・施工において押さえておきたいサッシ性能の基礎知識と、実務でどのように性能を選定するかを分かりやすく解説します。


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耐風圧性(サッシの基本3性能)

耐風圧性とは、強風などの外力に対しサッシやドアがどれだけ耐えられるかを示す性能。

枠や部材が変形や破損、障子が脱落、ガラスが割れたりしない基準となります。強いて言えば、安全に直結するため最も重要な性能指標とも言えます。

JIS等級性能(耐えられる風圧)
S-1800Pa
S-21200Pa
S-31600Pa
S-42000Pa
S-52400Pa
S-62800Pa
S-73600Pa

ビル用サッシで最もよく採用されるS-5(2400Pa)は、1㎡の窓に約245kgの圧力がかかって耐えられるという意味。
風速換算は≒62m/sで猛烈な台風クラスの風に相当
フロントサッシや住宅サッシで採用されるS-3(1600Pa)
は風速≒50m/s、最大瞬間風速≒60m/sに相当

実務上の目安(耐風圧性能の決め方)

本来は、地域・立地条件・建物の高さや規模などを考慮し、告示第1458号・1454号に基づいて設計風圧力を算出し、その数値に応じた性能を選定するのが基本です。ただし、実務(とくに住宅用サッシ)ではそこまで厳密に計算されないケースも多く、以下のような考え方で決定されることも多いです。

  • ビル用サッシ
    建築工事標準仕様でS-4、S-5、S-6が規定。また一般的なマンションや事務所ビルではS-5程度の性能を求められるこが多いため、S-5が標準採用。そのためアルミ製、樹脂製ともにS-5がメーカー標準仕様となっている製品も多い
  • フロントサッシ
    1階エントランスなどに使用されるフロントサッシは告示第1458号の適用除外のため、サッシ業界の基準で計算される事が多い。設置階が1階のため、S-1~S-3の範囲で選定されるケースが一般的
  • 住宅用サッシ
    メーカーのカタログ等では、参考値として「1階:S-1、2階:S-2、3階:S-3」を選定目安として示していることが多い。戸建住宅ごとに毎回計算することは少なく、ハウスメーカーの標準仕様や、工務店の経験則とメーカー基準に基づいて選定される事が多いようです

(参考)公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版より抜粋

◆アルミニウム製建具の性能値等

サッシの性能-公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版-アルミニウム製建具の性能値等

◆樹脂製建具の性能値等

サッシの性能-公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版-樹脂製建具の性能値等

◆鋼製建具の性能値は、公共建築工事標準仕様書に記載なし

出典:国土交通省ウェブサイトより 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版
https://www.mlit.go.jp/gobuild/kenchiku_hyoushi.html

水密性(サッシの基本3性能)

水密性とは、激しい雨風の際に、室内への雨水の浸入をどれだけ防げるかを示す性能。

雨を伴う強風時に、サッシの下枠などから水があふれ出さない能力を指します。近年の製品は全体的に水密性能が向上しており、一般的には引違い窓よりも開き窓やFIX窓の方が性能が高い傾向がありますが、性能は製品ごとに異なります。

JIS等級性能(浸入を防ぐ圧力)
W-1100Pa
W-2150Pa
W-3250Pa
W-4350Pa
W-5500Pa

W-3等級は、降水量240㎜/時間で風速約20m/sの雨風でも雨水が浸入しないレベルとされています

実務上の目安(水密性能の決め方)

水密性能は製品仕様としてあらかじめ決まっている場合が多く、メーカーや製品間で極端な差はあまりありません。そのため、特殊な条件を除けば、水密性能を細かく選定するというより、採用予定の製品仕様を確認する程度で済むケースがほとんどです。

ただし、一部の製品では性能を選択できたり、特殊仕様(例えば下枠をフラットにするなど)を選択すると性能が大きく下がる場合もあるため注意が必要です。

  • ビル用サッシ
    一般的な選定目安は「W-3〜W-5」。ジャロジー窓のような特殊な製品を除き、多くの製品はW-4~W-5に該当するため、通常大きな問題にならないが、下枠をフラットなど特殊仕様にする場合は性能低下に注意
  • フロントサッシ
    エントランスで使用する自動ドアやフロアヒンジドアなどは、水密性能を持たないため条件によっては、グレーチングを設置するなど建築側で対策を検討。またFIX窓も通常のビル用サッシに比べ水密性能が低い傾向
  • 住宅サッシ
    一般的には「W-2〜W-4」が選定の目安と言われる。W-4の製品が多いが、最近はW-5等級が選択できる製品も増加

(参考)公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版より抜粋

◆アルミニウム製建具の性能値等

サッシの性能-公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版-アルミニウム製建具の性能値等

※耐風圧に関しては鋼製建具も本表に従うと記載がある

◆樹脂製建具の性能値等

サッシの性能-公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版-樹脂製建具の性能値等

◆鋼製建具の性能値等

サッシの性能-公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版-鋼製建具の性能値等

出典:国土交通省ウェブサイトより 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版
https://www.mlit.go.jp/gobuild/kenchiku_hyoushi.html

補足

沖縄ではW-5でも漏水するケースが多く、JIS規定外となる1,000Pa仕様や、近年では1,500Pa仕様の製品が採用されることも。これらの高水密製品は、超高層建築など特殊条件下で流用し使用される場合も。

気密性(サッシの基本3性能)

気密性とは、サッシの隙間からどれだけ空気が漏れるかを示す性能。

風によって室内外に気圧差が生じると、気密部品の接触部からすき間風が発生します。この空気の出入りをどれだけ抑えられるかを評価したものが気密性能で、漏れる空気量が少ないほど高性能となります。

JIS等級性能(気密等級線)
A-1A-1等級線(性能が最も低い)
A-2A-2等級線
A-3A-3等級線
A-4A-4等級線(性能が最も高い)

実務上の目安(気密性能の決め方)

一般的には、住宅用サッシで「A-3」、ビル用サッシで「A-3~A-4」が目安とされています。近年の製品はこの水準を満たしているものがほとんどで、実務では窓選定時にあまり重視されない性能となっています。

補足

例えばすべての窓種が最高等級の「A-4」を満たしていたとしても、実際は性能が違うので注意が必要。一般的には、引き違いが最も気密性が低く、次に開き窓、FIX窓の順。FIX窓は結露排水の穴などが無ければ理論的には漏気は無いと言える

遮音性(サッシの5性能)

遮音性とは、屋外からの騒音をどれだけ遮断できるか、また室内の音が外部に漏れるのをどれだけ防げるかを示す性能。

等級性能(遮音レベル)
T-125等級
T-230等級
T-335等級
T-440等級

T-1(25等級)は、25dBの音を遮断する性能を指し、例えば80dBの騒音は室内で約55dBまで低減

  • 25dB:図書館内の静かな環境
  • 55dB:テレビの音、1m程度の会話音
  • 80dB:掃除機使用時、電車到着時のホーム騒音

実務上の目安(遮音性の決め方)

遮音性能は、周辺環境(線路沿い、幹線道路沿いなど)に応じて選定します。住宅では「T-1」、ビルでは「T-1~T-2」が一般的です。

より高い静粛性が求められる場合は「T-3」「T-4」が検討されますが、商品や窓種によってはT-3では防音合わせガラス、T-4では窓種によって二重窓が必要となるケースもあります。

なお、遮音性向上にはサッシ性能だけでなく、ガラス厚の影響が大きく、ガラスが厚くなるとサッシの操作性が重くなる点には注意が必要です。とくに引違い窓は注意が必要と言えます。

(参考)公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

◆アルミニウム製建具の性能値等
(イ) 防音ドア、防音サッシとする場合の遮音性の等級は、特記による。

◆樹脂製建具の性能値等
防音ドア、防音サッシとする場合の遮音性の等級はT-1 又はT-2 とし、適用は特記による。

◆鋼製建具の遮音性能値は記載なし

出典:国土交通省ウェブサイトより 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版
https://www.mlit.go.jp/gobuild/kenchiku_hyoushi.html

断熱性(サッシの5性能)

断熱性とは、熱の伝えにくさ(逃げにくさ)を示す性能。

等級は数字が大きいほど断熱性能が高くなります。一方、性能指標であるU値(熱貫流率)は、数値が小さいほど高性能となります。

等級性能(熱貫流率:U値)
H-14.7W/(㎡・K)以下
H-24.1W/(㎡・K)以下
H-33.6W/(㎡・K)以下
H-42.9W/(㎡・K)以下
H-52.3W/(㎡・K)以下
H-61.9W/(㎡・K)以下
H-71.5W/(㎡・K)以下
H-81.1W/(㎡・K)以下

地域や省エネ基準への適合レベルによって求められる性能は異なります。各メーカーやサッシ協会が公開している「断熱性能の選択」などを参考にし検討することをおすすめします。

(参考)公共建築工事標準仕様書(建築工事編)

◆アルミニウム製建具の性能値等
断熱ドア、断熱サッシとする場合の断熱性の等級は、特記による。

◆樹脂製建具の性能値等
断熱ドア、断熱サッシとする場合の断熱性の等級は、特記による。特記がなければ、外部に面する建具は表16.3.3 により、断熱性の等級は特記による。

◆鋼製建具の断熱性能値は記載なし

出典:国土交通省ウェブサイトより 公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版
https://www.mlit.go.jp/gobuild/kenchiku_hyoushi.html

その他の性能について

防露性能

防露性能にはJISによる等級規定がないため、数値で性能を選択することはできません。厳密には異なりますが、基本的には断熱性能が高いサッシほど結露しにくいと考えて問題ありません。

ただし、結露は室内の温度・湿度条件に大きく左右されるため、製品性能だけで決まるものではありません。事前に検討する場合は、メーカーに室内条件を設定した上で結露シミュレーションを依頼する必要があります。

補足

結露がひどいという相談で現地調査を行うと、加湿器を多用していたり、大量の調理を行っていたりするケースもあります。このような場合、窓だけでは解決できない点に注意が必要です。

防火性能 

防火性能は建築基準法の規定に従って選定します。防火サッシは制約が多く、窓種や製品によっては対応できないサイズ・形状があるため、その場合はサッシ材質や寸法の見直しが必要になることがあります。

防犯性能

防犯性能については、現時点ではJISによる等級規定はありません

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