樹脂サッシや、アルミ樹脂複合サッシは高い断熱性能を持つため、アルミサッシに代わり普及してきています。木造住宅では樹脂サッシや、アルミ樹脂複合サッシが多くなっていますが、非住宅では、まだアルミサッシが主流です。
「樹脂サッシ」と「アルミ樹脂複合サッシ」の比較
比較表
各サッシの断熱性能や結露、価格を表で比較しました。
「樹脂サッシ」は断熱性能が高い代わりに、価格が高くデザイン性が低いです。「アルミサッシ」は断熱性能低いけど、価格が安くデザイン性が高いです。「アルミ樹脂複合サッシ」はその中間です

項目 | 樹脂サッシ | アルミ樹脂複合サッシ | アルミサッシ |
---|---|---|---|
断熱性・環境負荷 | ★★★ | ★★ | ★ |
結露 | ★★★ | ★★ | ★ |
耐久性・強度 | ★★ | ★★ | ★★★ |
価格 | ★ | ★★ | ★★★ |
メンテナンス | ★★ | ★★ | ★★ |
デザイン | ★ | ★★ | ★★★ |
「樹脂サッシ」「アルミ樹脂複合サッシ」のイメージ比較
各サッシの参考画像と、各部位の名称の比較です。どちらも縦すべり出しの下枠と縦枠を表現しています。

「樹脂サッシ」「アルミ樹脂複合サッシ」の論争について
性能は「樹脂サッシ」のほうが「アルミ樹脂複合サッシ」より高いです。ただし、金額も樹脂サッシの方が高いため、どちらが良いかという議論があり、住宅において意見が分かれています。
樹脂サッシ派の主な意見
- 樹脂の方が断熱性能が高く、トリプルガラスなど性能が良い製品では全く結露しない。夏のエアコンの効きも良い
- 価格が高いというが、防火サッシでなければ、アルミ樹脂複合からそこまでの価格UPではない
- 数十万円の価格UPなら住宅全体価格なら誤差の範囲
- 価格を安くするために、アルミ樹脂複合で十分と営業するメーカーや工務店が多いが、あとで後悔する人が多い
- 日本は断熱後進国で、世界では樹脂サッシの方がスタンダード
- 耐久性が低く、塗装が剥げると言われるが、色付きのPVC材を使い塗装はしないので剝がれる事はない
アルミ樹脂複合サッシ派の意見
- 外気温や部屋の温度、湿度によってはアルミ樹脂複合で十分結露しないし、少しぐらい結露してもかまわない
- アルミ樹脂複合でもガラスの中空層をアルゴンガス+樹脂スペーサーにすれば、ほとんど結露しない(トリプルガラスが選択できるサッシも少ないがある)
- 引違い窓は結露しやすいが、FIXや縦すべり出し窓は気密性が高いため、設置する方角や部屋で窓種を考えれば良い
- 温暖な地域なら、樹脂サッシはオーバースペック。高い価格が効果に見合わない。たとえば九州地方では、まだアルミ樹脂複合か、アルミサッシに樹脂アングルピースを使うケースも多い
- 断熱先進国の欧州でも、最近は樹脂サッシ→アルミ樹脂複合へ移行しつつある
(※ただし、日本はアルミサッシに内部樹脂カバー、欧州はアルミクラッドと言う樹脂サッシに外部アルミカバーです) - 樹脂サッシは、枠が太く、色の選択肢も少ないため見た目が悪い
- 樹脂はアルミに比べ耐候性が低く、高温多湿の日本の気候では外部が劣化する
樹脂サッシとは

樹脂サッシはポリ塩化ビニル(PVC)などの合成樹脂を使ったフレームの窓です。LIXILやYKKAPなど大手サッシメーカー以外にもエクセルシャノンなどが製作をしています。そのため、仕様は各メーカーの商品によります。
ガラスはLow-e複層ガラスやトリプルガラスが採用されます。中空層には空気よりも断熱性能の良いアルゴンガスやクリプトンガスも選択が可能です。
木造住宅サッシでは昔から特に寒冷地では多く採用されており、商品の種類も豊富です。非住宅サッシではまだ、アルミサッシが主流なので、商品の種類も少ないです。
「オール樹脂」も同義です。アルミ樹脂複合との対比表現として使うことがあります。
樹脂サッシのメリット3選
断熱性が高い
樹脂は熱伝導率が非常に低く、アルミに比べて熱を伝えづらく、また樹脂サッシで使用されるガラスの性能も良いため断熱性能が非常に高いです。冬は暖かく、夏は外からの熱を防ぎます。そのため、冷暖房効率が向上し、電気代の節約にもつながります。
北海道では、ほとんどの住宅が樹脂サッシ、もしくは二重サッシです
二重サッシについてはこちらの記事をどうぞ 二重窓(二重サッシ)・内窓とは?メリット、デメリットを比較
結露が発生しにくい
さらに、樹脂は断熱性が高いため、結露が起こりにくいです。結露はカビやダニ、枠まわりの木材や内装材の腐食の発生原因となるため、樹脂サッシで予防することができます。
耐久性・メンテナンスが良好
樹脂サッシは耐久性が高く、腐食や劣化に強いため、長期間使用しても品質が落ちにくいです。また、メンテナンスも比較的容易で、塗装などの特別なケアが不要なのも魅力です。
樹脂サッシのデメリット3選
価格が高い
樹脂サッシはアルミサッシに比べて製造コストが高く、初期費用が高額になることがあります。特に、複数の窓を取り替える場合や新築で大量に導入する場合注意が必要です。
強度が低い
樹脂はアルミに比べて強度が劣り、大きな窓や負荷のかかる場所には補強が必要になることがあります。特に、大きなガラス面を支える場合や風圧の強い地域では、樹脂単体では強度不足となる場合があるため、工夫が必要です。
デザインの制約・製作範囲
樹脂サッシは色や質感においてアルミほど多様性がないため、建物デザインに合わせにくい場合があります。最近ではカラーバリエーションが増えているものの、金属の質感や特定の色調を求める場合、デザインの選択肢が限られます。また、見付が太くシャープな納まりにならない製品がほとんどです。
アルミ樹脂複合サッシとは

アルミ樹脂複合サッシは、外側にアルミ、内側に樹脂を使用した窓枠です。「ハイブリッドサッシ」や「複合サッシ」と呼ばれることもあります。枠本体はアルミサッシで内側に樹脂のカバーを付けたイメージです。
樹脂は断熱性が高く、外側のアルミは耐久性や強度に優れています。この構造により、結露を抑えつつ、耐候性に優れます。また外側が強度の高いアルミのため、デザインの自由度が高く、シャープで大きな窓にも対応できます。コストは一般的にアルミサッシより高く、樹脂サッシより低いです。断熱性とデザイン性やコストを両立させたい場合に最適な選択肢です。
日本の木造住宅では、6割以上がアルミ樹脂複合サッシで最も一般的な選択肢と言えます。
アルミ樹脂複合サッシのメリット3選
断熱性と強度のバランスが良い
内側に熱性の高い樹脂、外側に強度と耐候性の高いアルミを使用し、断熱性が高く耐久性も確保しています。大きな窓や風圧の強い場所でも使用できます。
結露防止効果が割と高い
アルミは結露が発生しやすい素材ですが、内側の樹脂で断熱性が向上し、結露の発生を抑えることができます。これにより、樹脂サッシには劣りますが、室内環境を快適に保つことができ、カビの発生も防ぐと言えます。
デザインと耐候性に優れる
外側がアルミのため耐候性が高く、紫外線や風雨による劣化に強いです。さらに、アルミならではのデザインの自由度もあり、また枠の見付も細いためシャープに仕上がります。樹脂サッシに比べて枠が細いという事は、ガラス面が大きくなるという事なので日射取得には有利です。
また、内外で色を変えることができます。内外で同色とすることも出来ますし、室内だけ木目調にするなど多彩な色を選べるため、建物の外観デザインに合わせやすいのです。
アルミ樹脂複合サッシのデメリット3選
コストが高い
アルミと樹脂の両方を使うため、製造コストが高く、結果として販売価格もアルミサッシより高めになります。初期投資が大きくなるため検討が必要です。サッシ枠のみの比較では樹脂サッシよりも高くなる場合がありますが、樹脂サッシの方が性能の高いガラスを組み合わせるため、総合的には樹脂サッシより安価となる場合が多いです。
夏に暑い
アルミは樹脂の約1000の熱伝導率です。室内側に樹脂のカバー材があるとは言え、オール樹脂のサッシと比べると枠が熱くなります。なぜ、樹脂なのにこんなに熱くなるのかとクレームが入る事もあるようです。また、枠がシャープでガラス面が広く、樹脂サッシに比べて日射取得が出来るという事は、逆に夏は暑くなるという事でもあります。
窓の方角によっては窓のサイズや、ガラスの種類や色の選択も重要になります。
結露リスク
樹脂部分は断熱性が高く結露しにくいものの、外部と室内の温度差や湿度によって結露する可能性があります。特に外気が氷点下程度になるぐらい寒い日の場合、一部結露する場合多いようです。
また、樹脂サッシに比べると比較的性能の低いガラスを組み合わせる事が多いため、ガラス自体の結露の可能性もあります。ガラスは中心部が結露する事は、ほとんど無いと言えますが、サッシ枠に近い部分では結露の可能性は高まります。
特に引違い窓では、結露の可能性が高いです。開き窓やFIX窓は比較的、結露しづらいため窓種の選択も重要となります。
コメント
記事素人が書いていますか?
記事をお読みいただき、またコメントありがとうございます。あくまで具体的な製品の性能について言及はせず、入門編として一般的な情報をまとめた記事ですので、もし具体的に質問やご意見ございましたら、ぜひ教えていただけると嬉しいです。私のプロフィールはこちらに掲載しております運営者情報