【解説】サッシのシーリング材|種類・選び方のポイント

アイキャッチ-シーリングの種類

この記事では、サッシや窓まわりのシーリング材(コーキング材)について、分かりやすく解説します。最適なシーリング材の選び方、他業種との取り合い、施工のポイントなど現場で役立つ内容をお届けします。

こんな方におすすめです

  • ネットで検索するとシールメーカーの技術サイトばかりで結局、何が良いのかわからない
  • シール屋さんと打合せできる、最低限の知識を付けたい
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シーリングとは?

シーリング関連の用語解説

「sealing」は密封の意味の言葉で、建築では気密性や防水性を高めるために隙間を埋める事を総称してシーリングと呼びます。シーリングに使用される材料を「シーリング」「シーリング材」「シール」呼びます。また「コーキング」も同義です。

関連用語で、シールを1回打設する納まりを「シングルシール」、2重に打設する納まりを「ダブルシール」「2重シール」と呼びます。

また「ガスケット」や「AT材」などを「定形シーリング材」と呼ぶこともあります

本記事を読む前の注意点

シーリングは、メーカーにより様々な種類があるため、性能や打ち継ぎ性の解説はあくまで一般的な内容です。実際に現場で使用の際にはご注意ください。メーカー違いでシールを打ち継ぐ場合はシール接着性試験を行うことが推奨されます。

サッシのシーリング材について理解出来たら、サッシ図の読み方の記事をどうぞ
【完全保存版】サッシ図の基本|見方・読み方徹底解説

サッシ・窓まわり最適なシーリングと使用場所

まずは簡単に結論のみお伝えします。

シーリングの種類-サッシのシーリング

シリコン系シーリング材

サッシ工事で良く使用されるシーリング材です。止水性、耐候性が最も高いため、室内の額縁やパネルの目地などで使用されます。シリコン系打設後には他のシールが付かない打ち継ぎの問題や周囲汚染の問題から外部では使用しません

またガラス廻りのシールもシリコン系で、工事区分はガラス工事です。

一回に使用するメーター数が少なければSR-1、多ければSR-2を使用します。カーテンウォールのガラスでは、性能の問題からメーター数が少なくてもSR-2を使用します。

変成シリコン系シーリング材

周囲の汚染も少なく、止水性、耐候性も良好なため、サッシ工事で最も多く使用されるシーリング材です。水切、方立ジョイント、無目ジョイントなど現場打設は基本的にMS-2を使用します。シリコン系に比べモジュラスも低く(柔らかく)温度差によるムーブメントにも追従でき外部に向いています。

図面は躯体シール(建具工事外)も変成シリコンの例ですが、躯体シールが異なれば、サッシ外部シールも合わせるのが基本です。ただ、最近は打ち継ぎ性が向上しているため、その場合もMS-2を使用する事が多いです。打ち継ぎに問題がある場合は、躯体シールと合わせてください。

ポリサルファイド系シーリング材

打ち継ぎ性が非常に良いため、図の緑シールようにシールを受ける面が無い場合に、工場の先打ちシールなどで使用されるケースが多いです。

外部に見えなくなる先打ちシールのため、同じく打ち継ぎ性の良いポリウレタンを使用するメーカーもあります。また、後打ちシールが変成シリコンなら、先打ちシールも変成シリコンとする場合もあります。

また、周囲の汚染も少なく、止水性、耐候性、打ち継ぎ性が良好なため、工場で水切シールを打設する場合にも使用されます。これは現場で躯体シールと繋がる打ち継ぎ性を考慮するためです。

シーリングの種類-サッシの先打ちシール

シーリング材の種類と区分

シーリングの種類-シーリング一覧表
シーリング材の種類一覧表 ※赤文字はサッシで良く使う種類

シーリングの一般的な知識です。建築でよく使われる代表的な種類について解説します。

形態(1成分系・2成分系)

1成分系(1液)

  • カートリッジをそのまま使えて、湿気や空気と反応して硬化。
  • 使いやすい代わりにコストは高いため、一回の打設量が少ない場合に使用

2成分系(2液)

  • 使用前に基材と硬化剤を混合。混合により、硬化が安定し環境の影響を受けにくい
  • 一缶が4L~6Lのため、おおよそ30m以上打設する場合に使用。大量に打設するなら安価
  • 一般に2成分系の方、気候によらず安定して硬化し、耐候性が良く、経年で瘦せづらいと言われる

シーリングの材質

シリコン系シーリング材

  • 耐候性、耐水性がすべてのシールで最も良い
  • 高モジュラス、高弾性(硬い)
  • シリコンオイルに汚れが付着し、目地周囲を汚染する
  • 撥水性が高く、上から塗装ができない
  • 打ち継ぎ性:×
  • 主な使用場所:ガラス廻り、キッチン、浴槽など建築全般

変成シリコン系シーリング材

  • 耐候性、耐水性は良い。常に水にぬれる場所には向かない
  • 周囲の汚染は少ない。ノンブリード製品がある
  • 上から塗装可能。ポリウレタンの改良版的な位置づけ、耐候性が良く塗装無しで使用可
  • 打ち継ぎ:〇
  • 主な使用場所:サッシ、カーテンウォール、板金、外壁、躯体

ポリサルファイド系シーリング材

  • 耐候性、耐水性は良い
  • 周囲の汚染は少ない。ノンブリード製品がある
  • 上から塗装すると変色の可能性あり
  • タイル目地は変成シリコンが主流になりつつあり、生産量減で価格が高い
  • 打ち継ぎ:◎
  • 主な使用場所:タイル、石材、躯体、PC、サッシ

ポリウレタン系シーリング材

  • 耐候性、耐水性は低く、屋外では塗装と併用
  • 周囲の汚染は少ない。ノンブリード製品がある
  • 塗装性は非常に良い
  • 価格が低い
  • 打ち継ぎ:◎
  • 主な使用場所:塗装の下地、ALC目地

アクリル系シーリング材

  • 耐候性、耐水性は低く、水の当たる場所では使用不可
  • 水性エマルジョンタイプのため、施工性が良い
  • 周囲の汚染は少ない。ノンブリード製品がある
  • 塗装性は悪いが、カラーバリエーションが豊富
  • 主な使用場所:内装、クロス下処理

ブチルゴム系シーリング材

  • 耐候性は低く、外部では使用しない
  • 硬化後も、べたつきが残り粘着力が強い
  • 主な使用場所:サッシや板金の裏打ち、防水シートの合わせ目など耐候性を必要としない充填接着目的

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